1か月半ぶりにとどろきアリーナに戻ってきた川崎ブレイブサンダース(以下 川崎)に対し、ここまで8連勝と波に乗るサンロッカーズ渋谷(以下 渋谷)。川崎はDAY1では敗れただけに、連敗だけは避けたい。結果や如何に。

1Q 川崎 16-24 SR渋谷

 立ち上がり川崎は、#00デービスのジャンパー、#0藤井の3pシュートで5点をリードするが、渋谷は#6サクレがポストから2本シュートを決め喰らいつく。しかし、川崎#22ファジーガスにチーム7点目を許したところで、渋谷勝久ジェフリーHCは「流れというよりディフェンスルールを徹底できていなかった」という理由で早めにタイムアウトを請求する。そして川崎#33長谷川に得点を許したものの、渋谷は#山内がファストブレイク、#22長谷川のスチールからサクレがダンクを決めて逆転し、流れを変えることに成功。今度は川崎がタイムアウトを請求。タイムアウト後、渋谷は#24広瀬がスチールからのファストブレイクを決めリードを広げ、残り3:45今度はハレルソンが3pを決め、広瀬も続き渋谷のリードは6点まで広がる。終盤まで、川崎もスコアで目立ったのは、#14辻からのアシストを受けてダブルクラッチを決めた#23バンバのみで、渋谷は#9ベントラメの3pシュートが炸裂し8点リードで1Qを終了する。

2Q 川崎 32-33 SR渋谷

 渋谷の攻撃からスタートしたが、ベントラメのレイアップを川崎デービスがブロックショットで止めて流れをつかむ。そして、こぼれ球を取った藤井がゴールに向かって走り、渋谷#51菊池のファールを誘ってフリースローを1本決める。その後も連続で得点するが、渋谷も1Qの途中からコートに入っていた#1清水が川崎に流れを渡さない気迫で3pシュートなどを決め、さらにベントラメからのノールックパスを受けた#0満原がシュートを決め、10点リードとしここで残り7:28川崎がタイムアウトを請求する。オフィシャルタイムアウト明け、川崎は#6小澤が3pシュートを決めてきっかけを作る。そして#18鎌田も続き差を詰めていく。そして2-3ゾーンディフェンスも適宜入れながら流れをたくりよせると、藤井が得点を決めて1点差まで詰めて、今度は渋谷がたまらずタイムアウト。終盤お互いに決め手を欠くが、結局渋谷が1点リードで前半終了する。

3Q 川崎 57-56 SR渋谷

 後半は川崎辻のスチールからスタートする。そのままファストブレイクを決め、まずは勝ち越しに成功。続けて川崎は#33長谷川のオフェンスリバウンドから、前半わずか3点に抑えられていた#22ファジーガスがようやくこの日初の3pシュートを決める。渋谷サクレに得点を許すも、鎌田からのアシストを受けた藤井が3pシュートを決め、辻からのパスをファジーガスがアリウープでゴールにねじ込み5点リードまで広げる。そして藤井が連続で得点を決めていくと、オフェンスリバウンドからファジーガスが得点を決めて9点リードとしたところで渋谷は後半1回目のタイムアウトを請求する。タイムアウトが明けても、川崎はファジーガス、藤井がシュートを決めてリードは11点となる。残り3:56、渋谷はサクレと山内を下げて、#51菊池とハレルソンをコートに入れる。これが功を奏したのか、渋谷の追い上げ態勢が始まる。ベントラメがレイアップを決めると、川崎は次のディフェンスで藤井がこのQチームファール5つ目をしてしまい、満原がフリースローを2本しっかり決める。

 そして2Qの立ち上がり同様、清水がここでも果敢に攻めていく。まずはこの日タッチが良かった3pシュートを決めて6点差まで詰め、ディフェンスに行くが、積極的に行き過ぎるあまりファールを連続でコールされてしまう。「最近コーチからディフェンスを激しくするように求められていた」と明かした清水。チーム最年長で長い時間プレーをする役割ではないと自覚をする中で、「ファイブファウルになっても良い」と開き直っていた。「ファールをするなら思いっきりファールをして、相手のエースがちょっとでもストレスや不満を抱えてくれたらという思いでプレーしていた」と試合後にこの場面を振り返った。ファールを気にすることなくディフェンスできたことがいい方向につながったようだ。その開き直りは自らのスチールにつながり、ベントラメの3pシュートをおぜん立てした。川崎は残り1:22後半1回目のタイムアウトを請求する。そして川崎長谷川に3pシュートを許すが、渋谷はベントラメが3pシュートとレイアップを決め1点差に詰めたところで3Qが終了する。

 

4Q 川崎 77-78 SR渋谷

 このQに入りゲームを通じて初のバスケットカウントをサクレが決めるが、川崎もこの選手が黙っていなかった。辻が3pシュートを決めて再び逆転に成功すると、ジャンパーを挟んで再び3pシュートを決める。この段階で川崎は7点リードとし、とどろきアリーナはボルテージが最高潮に達する。流れは川崎に傾き、渋谷もタイムアウトをコールするかと思いきや、「ここは我慢しました」と勝久ジェフリーHCはタイムアウトを取らなかった。直後にサクレが連続でペイントエリアから得点をして喰らいついていく。清水も3pシュートを決め1点差に詰める。続けて菊池が3pシュートを決め逆転に成功し、オフィシャルタイムアウトを迎える。

 

 川崎は辻のオフェンスリバウンドで粘りを発揮すると、渋谷はサクレ、清水、ハレルソンと連続でディフェンスファールを重ねてしまい、このQのチームファールは4つまで増えることになる。そして川崎は好守備後、辻が3pシュートを決め勝ち越しに成功する。その後は1点差の攻防が続き、残り20.4川崎ファジーガスが得点をして3点リードとしたところで、渋谷がこのQ初で後半2度目のタイムアウトを請求。直後のオフェンスでは、ベントラメがゴールを決め、川崎のリードが1点となったところで、今度は川崎が残り12.4秒後半2度目のタイムアウトを請求。そして渋谷はファールゲームを仕掛ける。ベントラメがファールをし、直後のフリースローで辻は1本のみ決める。その後の渋谷のオフェンスで、ベントラメが「無意識にパスをした」先にいたサクレが、「練習通りに打てた」と振り返る3pシュートがボードにはねかえってリングに吸い込まれ、土壇場で勝ち越しに成功。最後、川崎藤井のシュートはリングにも当たらず試合終了。渋谷が川崎ホームで連勝をし、9連勝を飾った。

 

 この日のポイントとなる場面は、サクレが最後にビッグショットを決めたところだ。もちろん、川崎に流れを渡さなかったベテラン清水の攻守の活躍も見逃してはいけない。しかし、そこに至る場面で忘れてはいけないのは、渋谷勝久ジェフリーHCのタイムアウト請求のタイミングだ。

 

 コート上で試合をするのは選手たちであるが、試合までにチームを作る中心人物はヘッドコーチである。チームが勝つために、ヘッドコーチは日ごろの練習からメニューを考え、勝つための練習を繰り返す。そして試合になると、コート上で戦う選手たちに試合を託すわけだが、ヘッドコーチも唯一試合に参加できるタイミングがある。それがタイムアウトだ。バスケットボールの公式戦において、Bリーグの様なオフィシャルタイムアウトは別物として、前半2回後半3回までタイムアウトをヘッドコーチ自らの決断でコールすることができる。コールするタイミングは、相手のペースになってしまって一呼吸を置きたいときにするケースが圧倒的に多い。あとは、試合終盤でクロスゲームの展開でボールがラインを割り、自分たちのオフェンスになった瞬間でタイムアウトをコールして、選手たちに作戦や指示を与えていくケースだ。

 

 この日の試合で勝久ヘッドコーチは、ゲームを通じてタイムアウトを前半2回後半2回請求している。前半最初のタイミングは1Q残り6:36、川崎ファジーガス選手にチーム7点目を決められたあとのタイミングだった。先程も触れたとおり、「流れというよりディフェンスルールが徹底できていなかった」という理由で請求している。この時、川崎のリードはわずか3点。後々の事も考えると、タイムアウトを取りづらい場面だ。しかし、「ディフェンスがうまくいっていない」という理由で躊躇なくタイムアウトを請求している。

 

 一方、タイムアウトをコールしてもおかしくない場面で我慢した場面があった。それは4Qで川崎辻に3pシュート2本も含め3連続で得点を許し、川崎が逆転から6点リードした場面だった。この瞬間辻はガッツポーズをし、とどろきアリーナのボルテージも最高潮に達した瞬間だった。勝久HCはタイムアウトをコールしなかった理由について「辻選手は素晴らしい選手で、自分たちがやるべきことをやっても決めてくる選手であったこと、あとはタイムアウトを我慢して最後まで残しておきたかった」と話す。結局タイムアウトは1個残したことになり、「あの時きちんと使っておればという反省もある」と付け加えた。

 

 大事なことは、勝久ジェフリーHCが相手チームの選手(辻選手)の特徴と、自チームの選手の特徴をしっかり把握できていたことだ。ヘッドコーチだから当たり前だと思うが、コートサイドで立っているヘッドコーチの心境は、どんなに選手の特徴を把握していても、展開に左右されやすいところでタイムアウトを取った方が安全策であると考える。正しく両チームの選手の特徴を把握できていなかったら、タイムアウトのタイミング、つまり状況判断もきちんとできなかっただろう。

 

 彼の強い決断は流れを変えることに成功し、最後のサクレの3pシュートにつながった。開幕前のインタビューで、「3人の指導者が僕の指導者としてのルーツだ」と答えてくれたことがあった。「バスケのコーチ」「トライアスロンのコーチ」「合唱団の先生」ここで学んだことが、今の彼のコーチングにつながる。チームは9連勝を達成。けが人もいる中、選手・スタッフが同じ方向に向かって試合ができている。「合唱団の先生に、合唱は全員が同じ意識で声を出さないと良い合唱は出来ない」と指導を受けたそうだ。今まさにその時の経験が生きているのではないか。これを続けられれば、東地区の上位に顔を出す瞬間もそう遠くない現実になりそうだ。

この日の模様は、12月6日インターネットラジオfmGIG 『マンティーのバスケットボールチャンネル』でお届けします。
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