昨年惜しくもファイナルの舞台で栃木に敗れた川崎ブレイブサンダース(以下川崎)、シーズン終盤からの失速でプレーオフを逃した名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(以下名古屋D)。名古屋Dは梶山HCがACからの昇格で、初のタクトを振る。一方、川崎はけが人がまだ戻っていない中で、北HCがどのように勝利に導くか注目だ。



1Q 川崎15-25名古屋D

 名古屋Dは相手のバックコートからしっかりプレスを仕掛けプレッシャーをかける。昨シーズンのリーグ得点王#22ファジーカスのシュートが外れた後、速攻から#21笹山のドライブから先制点をもぎ取る。#12中東もそれに続く。「相手のディフェンスに押されてオフェンスがうまくいかなかった」と試合後北HCが振り返る通り、ここから川崎は#7篠山が何度もドライブを仕掛けてゴールに向かっていくが、得点のシーンは、#14辻の3pシュート、篠山からの縦パスを受けた#00デービスのゴールのみ。名古屋はその間、#8張本の3pや#24バーレルのダンクなどでリードを7点まで広げる。

 残り5分08秒前半1回目のタイムアウトをコールした川崎は、篠山を下げて#0藤井をコートに入れる。ここでようやくファジーカスがこの日初得点を決め、続けて藤井からアシストを受けて得点するが、直後にデービスが個人2つ目のファールをもらい、#11野本と交代する。川崎は、1Qオンザコート2、つまり外国人2人態勢で申請していたが、#23バンバは欠場のため、このタイミングで北HCは野本をコールした。名古屋もファジーカスとマッチアップしていたバーレルを下げて#34ブラッキンズをコートに入れる。「今日は全然ダメだった」と試合後に野本が振り返ったように、開幕戦という独特の緊張感に飲まれた格好になった。しかし、ファジーガスは冷静にゴールを決め、なんとか5点ビハインドで喰らいついたが、直前にコートに入ったブラッキンズに3pシュートを決められると、流れは名古屋Dへ。野本も相手のディフェンスファールから獲得したフリースローも2本とも外し、藤井のスチールから#9栗原がブレイクを決めた後のオフェンスでビッグチャンスとなったシーンもゴールを決められなかった。チャンスを決められなかった次の名古屋Dのオフェンスで、#9安藤、最後は#6船生も決め、名古屋Dが10点リードで1Q終了。


2Q 川崎30-46名古屋D

 2Qに入っても名古屋Dが優位にゲームを進める。1Q途中からコートに入っていた、ベテラン#3柏木がチームを締めていく。「まだチームのシステムには慣れていないが、相手の弱点を突いていこうと考えていた」の言葉通り、相手の思うようなことをさせないという雰囲気が漂っていた。#33ティルマン、そして柏木と連続で3pシュートを決める場面は、チームを優位に立たせる起爆剤にもなった。しかし、ここで川崎は篠山・ファジーカスをコートに戻すと、ファジーカスが連続得点で得点差を詰めて、オフィシャルタイムアウトを迎える。

 タイムアウト後、名古屋Dは船生が3pシュートを決め、立ち上がりを決めるも、直後のディフェンスで。川崎藤井に対しスリーポイントエリア外でのシュートモーションのディフェンスファールをしてしまい、藤井は3本フリースローをきっちり決める。川崎はペースを取り戻したいところだが、名古屋#18中務の3pシュート、バーレルのバスケットカウントが決まり、川崎が15点ビハインドのところで残り2分43秒前半2回目のタイムアウトを要求する。その後は名古屋Dもディフェンスファールを重ねてしまうも、16点リードで前半を折り返した。

3Q 川崎48-54名古屋D

 リードされている追川崎が、篠山のドライブをきっかけに攻めの姿勢をみせる。ハーフタイム中に「ディフェンスの強度を上げなさい」と選手に指示した北HC。ファジーカスが3pを決めた後のディフェンスで辻がスチールを決める。得点には繋がらなかったものの、攻める姿勢はさらに加速する。残り4:36、その前のオフェンスでダンクを決めていたバーレルだったが、ここまでディフェンス面ではイライラしていた面を見せていたが、ここでディフェンスファールをすると、レフェリーからテクニカルファールをもらってしまい、いったんベンチに下がる。テクニカルファールだったので、ファジーガスがフリースローを一本決る。そして、「バーレルのテクニカルの場面で、(篠山)竜青さんがみんなを集めて『ここだぞここだぞ』と声をかけられた」と試合後に藤井が振り返る通り、ここから藤井の躍動が始まった。まずはチーム40点目となる得点、そして3pシュートを決める。直後のディフェンスでは、スチールを狙いに行ったが、ファールをコールされてしまう。しかし、その後も野本ともにディフェンスで貢献し、相手に得点を許さない。そして、残り1分40秒過ぎ、名古屋船生のオフェンスファールを呼んだ好守備で見せると、そのあとのオフェンスではきっちり得点を挙げた。栗原もフリースロー2本決めて、このQだけで10点差を詰めて最終Qへ向かう。



4Q 川崎76-77名古屋D

 4Qに入っても、藤井の勢いは止まらない。ここまでなかなか存在感を見せられなかった新加入の#00デービスのナイスオフェンスリバウンドから、3pシュートを決めて7点差、名古屋Dにトラベリングがあった直後のオフェンスでは、ファジーカスが得点を決めて5点差。その後名古屋Dに連続得点を許すも、デービスが2連続で得点を決めて3点差に詰める。「こういう展開になるのはわかっていたので粘ることが必要だった」とは試合後の名古屋D梶山HC。残り5分、ファジーカスに連続で得点を許し、ついに逆転を許す。しかし、名古屋Dはここで粘りを発揮し、ティルマン・船生が得点を決めて2点リードでオフィシャルタイムアウトを迎える。

 オフィシャルタイムアウト後、前半リングに向かっても得点にできなかった川崎篠山が、ドライブをきっかけに2連続の得点。名古屋Dも粘りを発揮し、逆転を許さない。一進一退のまま迎えた残り23.7秒、川崎はタイムアウトを要求。この時点で1点ビハインドの川崎がタイムアウト後のオフェンスでどのように時間を使うのか、注目が集まった。「この場面は色んな選択肢がありますが、負けていますし、シュートが外れた後のことも考えないといけなかった」と北HC。北HCが選択した作戦は、篠山にドライブで得点をさせることだった。「ヘッドコーチの指示でもあったし、ドライブに行けたので」と答えてくれたのはレイアップを決めた篠山。勝ち越し成功となるレイアップを残り17.4秒で決めた。

 この場面、オフェンスは24秒使う権利があるので、残り4秒ぐらいで決めて相手に攻める時間を与えないという作戦も考えられた。しかし、「同点ならば時間をしっかり使うという作戦だった」と北HC、篠山ともに口をそろえて振り返えった。これにより、名古屋Dは17.4秒を攻撃の時間に使うことができた。最後はバーレルの得点で再び勝ち越しに成功し、77-76で名古屋Dが開幕戦を勝利で飾った。



 最後の場面においての補足、アンスポーツマンライクファウルのルール変更があった。今シーズンより以下の文言が追加になった。

 (3) ディフェンスプレイヤーが直接ボールにプレイせず、速攻を止めることだけを目的とした必要のないファウル、またはオフェンスの進行を妨害することを目的とした必要のないファウル(このルールはオフェンス側のプレイヤーがショットの動作に入るまで適用される) (出典:JBA・一部抜粋)

 この条文のまたは以降が、ファウルゲームと呼ばれるところに該当する項目だ。負けているチームは、終盤になると時間を稼ぎたいためにディフェンスファウルをしながら、相手チームにフリースローを打たせて、シュートが落ちた後の攻撃で得点をして、点差を詰めていた。だから、ファウルゲームの時間帯になると、必要のないファウルをすることもあった。今シーズンからは、進行の妨害をするようなファウルをしてしまうと、アンスポーツマンライクファウルが宣告され、相手チームにフリースローの権利を与え、さらに相手チームのボールからスタートすることになるので、時間稼ぎと呼ばれたファウルゲームの発動が難しくなっているのが現状のようだ。

 これを踏まえると、篠山のレイアップが残り17秒で決まったというのはチームとしてもベストチョイスだったのだ。そのあとのディフェンスをきちんと実行すれば、勝利が見えるので。

 この日の勝敗の分かれ目は、最後の場面ではなく、試合の最初の場面だった。名古屋Dはフロントコートからプレスディフェンスを仕掛け、川崎は押される格好になり、オフェンスがうまくいかなかった。結果、1Q 終了時点で名古屋Dに10点リードを許したことが敗因だろう。このQ、川崎はオンザコート2(外国人2人)、名古屋Dはオンザコート1(外国人1人)、この段階で川崎は優位に立つのである。特に4番ポジションで考えれば、川崎はデービス、名古屋は張本。昨シーズンの島根在籍の活躍を見れば、ファジーガスへの負担を抑えるためにも機能しないといけないシチュエーションで機能できなかった。

 川崎は、これまでファジーカスの得点やリバウンドに支えられた面も大いにあった。長いシーズンを考えた場合、インサイド陣の奮起が求められるだろう。デービスやバンバにかかる期待も大きい。そしてオンザコート1(外国人1人)の時間帯では、野本がここに起用される。「やってもらわないといけない選手、マッチアップする選手のサイズが大きくても思い切ってやってもらいたい」北HCの期待とともに、インサイド陣の奮起に期待したい。

 勝利した名古屋D。「この日の勝利は大きな自信にもなる」と話したのは梶山HC。自身もヘッドコーチとしては初陣をなった試合。「前半は自分たちがやりたいバスケができた。最後はもう粘ることを求めていた。粘ってくれたのは良かった」と試合をとおして振り返った。そして、今シーズンから名古屋Dに加入したベテラン柏木の存在も大きい。「若い選手が多い中で、しっかりバランスを保つことが大事」と話した。試合では、きっちり役目を果たし、良い流れでゲームコントロールをしていた。「システムにはまだ慣れていませんが」とも話すベテランに対し、「彼はあんなもんではないですよ」とプレイぶりを振り返った指揮官。20代中盤の日本人選手が7人在籍する中で、梶山HCを支えるベテランの役回りはこれからもっと必要とされるだろう。

 この日の模様は、インターネットラジオfmGIG「マンティーのバスケットボールチャンネル」300回記念&Bリーグ2ndseason開幕戦SPでお届けします。
http://mantycorporation.com/archives/info/basketball20171004

 北HC 篠山選手 藤井選手 野本選手 梶山HC 柏木選手の声もお届けします。